夫(または妻)が財産を管理していて、自分は家計の状況を把握していない
夫婦それぞれが定額を生活費として出し合い、残りは各自で管理しているため、相手の財産状況を把握していない
このような夫婦においても、財産分与をする際には、互いに財産を開示し合い分与額を決めますので、本来は問題なく財産分与がなされるはずです。
しかし、うっかり開示するのを忘れていたり、財産を隠匿されていたために気が付かないまま財産分与をしてしまったということは、それほど珍しくはないと思われます。
では、財産分与が決まった後に、本来分与されるべき共有財産が新たに見つかった場合には、再度の財産分与を請求することができるのでしょうか。
この点、離婚判決後に新たに発見された財産について、再度の財産分与の申立てができるのかを判断した裁判例(東京高等裁判所決定令和4年3月11日)がありますのでご紹介します。
財産分与として、夫から妻に約4538万を分与する内容を含む離婚判決確定。
①の時に判断の対象とされなかった妻名義財産(有限会社の出資口数等)についての分与を求めて、夫が財産分与の調停を申し立てたが不成立となり、審判に移行
②について、横浜家庭裁判所が、夫の財産分与の申立てを却下
結論
たとえ当事者が,前件判決において,本件申立て理由に係る財産が財産分与の対象となる旨の認識を有しておらず,あるいは同財産の存在について何らの主張立証をしていなかったとしても,これらの財産について重ねて財産分与の申立てをすることはできない。
理由
財産分与請求権は,当事者双方がその協力によって得た一切の財産の清算を含む1個の抽象的請求権として発生するもので,清算的財産分与の対象となる個々の財産について認められる権利ではないのであるから,裁判所が,その協議に代わる処分の請求に基づいて,財産分与の額及び方法を定める内容の判決等が確定したときは,その効力として,当事者双方がその協力によって得た財産全部の清算をするものとして具体的内容が形成されるものである。したがって,上記判決等が有効に確定したものである限り,当事者は,上記判決等において考慮されていない財産があることを理由に,当該財産について,重ねて清算的財産分与を求めることはできないものと解するのが相当である。
上記裁判例によれば、離婚判決後に新たな財産が見つかった場合にも、再度の財産分与の申立ては認められないことになります。
そのため、財産分与をする際には、相手方が開示した財産の内容を慎重に検討する必要性がより高くなったといえます。
もっとも、上記裁判例は、紛争の蒸し返しを防ぐことを優先した側面があるともいえ、いかなる事案にも再度の財産分与の請求が認められないとまでは言い切れないのではないかとも思います。
この点について、上記裁判例とは異なる見解を取った裁判例も存在しますので、紹介しておきます。
広島高松江支決平2.3.26
右審判,判決が確定後に当該処分の審理中に現われなかつた新たな財産が判明するなど右裁判時に基礎とされた事情に錯誤があり,またはその後の事情の変更により当該審判,判決の確定による法的安定(家事審判法7条,非訟事件手続法19条3項参照)を考慮しても,これを維持して当事者を拘束することが著しく信義,衡平に反する場合は,これを取消し,変更することができるものと解するのが相当である。
財産分与は、上記以外にも、様々な論点を含んでおりますので、まずは弁護士に相談してみることをお勧めします。
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