財産分与において、自宅不動産の所有権を取得した場合には、自宅の所有権を取得したことを、第三者にも主張できるようにするため、相手方配偶者の名義になっている登記を、ご自身の名義に移転してもらう必要があります。
なお、自宅の住宅ローンが完済されていないまま登記を移転してしまうと、金融機関との間で大変な問題になることがありますので、ご注意ください。詳しくは、こちらをご覧ください。
登記手続に関し、協議で離婚した場合には、離婚後に、元夫と元妻とが共同で登記申請手続きをする必要があるのに対し、裁判所を介して離婚し、財産分与について意思表示したことを犠牲する文言を記載した判決や調停調書などがある場合には、自宅を取得する側の配偶者が、単独で登記申請手続きをすることができるという、大きな違いがあります。
権利に関する登記の申請は、法令に別段の定めがある場合を除き、登記権利者及び登記義務者が共同してしなければならない。
登記義務者というのは、自宅の登記を移転される側のことをいい、登記権利者とは、自宅の登記を移転してもらい登記名義人となる側のことをいいます。
例えば、離婚による財産分与の協議がまとまり、元夫名義の自宅不動産の登記名義を元妻に移転する場合、登記義務者である元夫と、登記権利者である元妻の両方からの申請がなければ登記を移転することができません。
このように記載すると、離婚後の元配偶者が協力してくれるのかしらと心配になる方がいらっしゃるかもしれませんが、多くの方は、離婚後の登記手続を、司法書士に依頼されると思います。依頼を受けた司法書士は、元配偶者と連絡をとり、意思確認のうえ元配偶者から必要書類の提供を受けてくれます。司法書士というワンクッションがあることで、離婚した元配偶者が冷静になることが多く、手続きに協力してくれなくて登記ができないということはそれほど多くはないと思います。
このように、登記手続には司法書士を利用することは有益ですから、協議離婚後のトラブルを回避するため、当事者間の協議でまとまりそうな事案であっても、離婚する前から司法書士や弁護士に相談し、離婚協議書の内容のチェックを受けたり、手続きの流れを確認しておくことをお勧めします。
上記のとおり、登記の移転は共同申請が原則なのですが、共同申請の重大な例外として、登記手続をすべきことを命ずる確定判決、和解調書、調停調書などによる登記の場合は、不動産を取得した側が、単独で登記申請することができます。
第60条(略)の規定にかかわらず、これらの規定により申請を共同してしなければならない者の一方に登記手続をすべきことを命ずる確定判決による登記は、当該申請を共同してしなければならないものの他方が単独で申請することができる。
条文上は、「確定判決」としか記載されていませんが、確定判決と同一の効力を有する、調停調書、和解調書、審判なども含みます。
なお、公正証書は含みませんのでご注意ください。
裁判所を介して離婚をするご夫婦は、対立関係も激しく、共同して登記の申請をすることが困難となる場合がありますので、単独で登記の申請ができることは大きなメリットとなります。もっとも、判決や調停調書で不動産の財産分与を受けていれば、常に単独申請が可能であるというわけではなく、法務局が登記の申請を受理してくれるような条項の記載になっていなければなりません。
この点について、裁判所は登記の専門家ではありませんので、必ずしも登記に対応した和解調書を作成してくれるとは限りません。
そのため、弊所の弁護士は、合意前に条項案を司法書士にチェックしてもらい、問題なく登記の申請ができることを確認するようにしています。
先ほど、裁判所を介して離婚をした場合には、確定判決等をもって単独で登記申請ができるとお伝えしました。
この点、判決や調書の文言が、引き換え給付条項となっている場合には、執行文の付与が必要となりますのでご注意ください。
引き換え給付条項というのは、例えば、自宅を取得する側の配偶者が、自宅を手放す側の配偶者に金銭を支払うこととなっている場合に、
「原告は、被告に対し、前項の代金の支払いを受けるのと引き換えに、別紙物件目録記載の不動産について、本日付け、本件離婚に伴う財産分与を原因とする所有権移転登記手続きをする」
というような形式の条項のことをいいます。
経験上、裁判所は引き換え給付条項を好むように思います。
かかる趣旨は、所有権移転登記と代金の支払いの同時履行を確保しようとするものだと思われますが、実際には、同時履行の関係にはならないことに注意する必要があります。
本来、登記手続は、共同申請が必要であるところ、判決の確定もしくは調停等の債務名義が成立したときに登記義務者の登記申請意思が擬制されることによって(民事執行法177条1項本文)、単独で申請することが可能となります。
これに対し、引き換え給付となっている場合、例外的に、条件成就執行文が付与されたときに登記義務者の意思表示が擬制され(民事執行法177条1項但書、同条2項)、単独での登記申請が可能となります。
そのため、一見、引き換え給付判決は、代金の引き換えと登記手続が同時履行の関係にあるように見えますが、手続き的には、必ず代金の支払いが先履行となります。
登記権利者は、代金を支払い、登記義務者から代金を受領したことを証明する書面(領収書等)を受け取り、裁判所で執行文の付与を受けることで、ようやく単独申請が可能となります。
せっかく財産分与で自宅を取得しても、登記の移転でトラブルになってしまうと大変困りますので、登記の移転が必要となるような財産分与をする場合には、事前に司法書士もしくは弁護士に相談されることをお勧めします。
さらに、具体的な登記手続の方法について知りたい方は、こちらをご覧ください。
【ご相談予約専門ダイヤル】
0120-758-352
平日・土日祝 6:00-22:00
【相談時間のご案内】
平日 | 9:00-18:30 |
---|---|
夜間 | 17:30-21:00 |
土曜 | 9:30-17:00 |
※夜間相談の曜日は各事務所により異なります
詳しくはこちら▶
事務所外観
より良いサービスのご提供のため、離婚相談の取扱案件の対応エリアを、下記の地域に限らせて頂きます。
愛知県西部(名古屋市千種区,東区,北区,西区,中村区,中区,昭和区,瑞穂区,熱田区,中川区,港区,南区,守山区,緑区,名東区,天白区,豊明市,日進市,清須市,北名古屋市,西春日井郡(豊山町),愛知郡(東郷町),春日井市,小牧市,瀬戸市,尾張旭市,長久手市,津島市,愛西市,弥富市,あま市,海部郡(大治町
蟹江町 飛島村),一宮市,稲沢市,犬山市,江南市,岩倉市,丹羽郡(大口町 扶桑町),半田市,常滑市,東海市,大府市,知多市,知多郡(阿久比町 東浦町 南知多町 美浜町 武豊町))
愛知県中部(豊田市,みよし市,岡崎市,額田郡(幸田町),安城市,碧南市,刈谷市,西尾市,知立市,高浜市)
愛知県東部(豊橋市,豊川市,蒲郡市,田原市,新城市,北設楽郡(設楽町
東栄町 豊根村))
岐阜県南部(岐阜市,関市,美濃市,羽島市,羽島郡(岐南町,笠松町),各務原市,山県市,瑞穂市,本巣市,本巣郡(北方町),多治見市,瑞浪市,土岐市,大垣市,海津市,養老郡(養老町),不破郡(垂井町
関ヶ原町),安八郡(神戸町 輪之内町 安八町),揖斐郡(揖斐川町 大野町 池田町),恵那市,中津川市,美濃加茂市,可児市,加茂郡(坂祝町 富加町 川辺町 七宗町 八百津町 白川町 東白川村),可児郡(御嵩町))
三重県北部(四日市市,三重郡(菰野町 朝日町 川越町),桑名市,いなべ市,桑名郡(木曽岬町),員弁郡(東員町))
三重県中部(津市,亀山市,鈴鹿市)
静岡県西部(浜松市,磐田市,袋井市,湖西市)
Copyright © 名古屋総合リーガルグループ All right reserved.
運営管理:名古屋総合法律事務所 弁護士 浅野了一 所属:愛知県弁護士会(旧名古屋弁護士会)
〒460-0002愛知県名古屋市中区丸の内二丁目20番25号 メットライフ名古屋丸の内ビル6階(旧丸の内STビル) TEL: 052-231-2601(代表) FAX: 052-231-2602 初めての方専用フリーダイヤル:0120-758-352
■提供サービス…交通事故,遺言・相続・遺産分割・遺留分減殺請求・相続放棄・後見,不動産・借地借家,離婚・財産分与・慰謝料・年金分割・親権・男女問題,債務整理,過払い金請求・任意整理・自己破産・個人再生,企業法務,契約書作成・債権回収,コンプライアンス,雇用関係・労務問題労働事件,対消費者問題,事業承継,会社整理,事業再生,法人破産■主な対応エリア…愛知県西部(名古屋市千種区,東区,北区,西区,中村区,中区,昭和区,瑞穂区,熱田区,中川区,港区,南区,守山区,緑区,名東区,天白区,豊明市,日進市,清須市,北名古屋市,西春日井郡(豊山町),愛知郡(東郷町),春日井市,小牧市,瀬戸市,尾張旭市,長久手市,津島市,愛西市,弥富市,あま市,海部郡(大治町 蟹江町 飛島村),一宮市,稲沢市,犬山市,江南市,岩倉市,丹羽郡(大口町 扶桑町),半田市,常滑市,東海市,大府市,知多市,知多郡(阿久比町 東浦町 南知多町 美浜町 武豊町)愛知県中部(豊田市,みよし市,岡崎市,額田郡(幸田町),安城市,碧南市,刈谷市,西尾市,知立市,高浜市) 愛知県東部(豊橋市,豊川市,蒲郡市,田原市,新城市,北設楽郡(設楽町 東栄町 豊根村)) 岐阜県南部(岐阜市,関市,美濃市,羽島市,羽島郡(岐南町,笠松町),各務原市,山県市,瑞穂市,本巣市,本巣郡(北方町),多治見市,瑞浪市,土岐市,恵那市,中津川市,大垣市,海津市,養老郡(養老町),不破郡(垂井町 関ヶ原町),安八郡(神戸町 輪之内町 安八町),揖斐郡(揖斐川町 大野町 池田町),美濃加茂市,可児市,加茂郡(坂祝町 富加町 川辺町 七宗町 八百津町 白川町 東白川村),可児郡(御嵩町))三重県北部(四日市市,三重郡(菰野町 朝日町 川越町),桑名市,いなべ市,桑名郡(木曽岬町),員弁郡(東員町))三重県中部(津市,亀山市,鈴鹿市)静岡県西部(浜松市,磐田市,袋井市,湖西市)