年金分割とは、夫婦が離婚をしたときに、婚姻期間中の保険料納付記録を、按分割合に応じて夫婦間で分割することができるという制度なのですが、この年金分割について理解するためには、まず、年金制度について理解することが必要です。
日本の主要な年金は、政府（社会保険庁）が保険者となり、国民を被保険者として実施している公的年金ですので、以下では公的年金について説明していきます。
公的年金には、①国民年金　②厚生年金　③共済年金の３種類があります。
公的年金は社会保険制度として実施されているもので、老齢、障害、死亡の事故について保険給付が行われます。社会保険は強制加入となっているため、一定の条件に該当する人は、本人の意思とは関係なく、必ず加入することになります。

国民年金は、日本国内に住所を有する２０歳以上６０歳未満の人（国籍は関係がないので、日本に居住する外国人も含まれます。）は、全員加入します。
年金の基本部分であり、年金制度の１階部分に当たります。
国民年金保険料は、自分で納める必要があります。
この国民年金のみに加入している人は、自営業者や学生であり、国民年金の「１号被保険者」と呼ばれます。

厚生年金は、法律で定める一定の事業所に勤務する労働者（簡単に言えば、会社員のことです。）が加入する年金制度です。
厚生年金に加入している人は、年金支給の際、国民年金と厚生年金の両方から給付を受けられるため、厚生年金は国民年金の上乗せ部分、つまり、２階部分に当たります。
保険料は、厚生年金保険料を納める際に、国民年金保険料も納めていることになります。
この厚生年金にも加入している人は、国民年金の「第２号被保険者」と呼ばれます。

共済年金は、国家公務員、地方公務員、私立学校の教職員が加入する年金制度です。
共済組合も、厚生年金と同様、年金支給の際に、国民年金と共済年金の両方から給付を受けられるため、国民年金の上乗せ部分、２階部分に当たります。 保険料は、共済年金を納める際に、国民年金保険料も納めていることになります。
この共済年金に加入している人も、厚生年金加入者と同様、「第２号被保険者」とよばれます。

（１）国民年金に加入している人のうち、（２）厚生年金及び（３）共済年金の加入者、つまり、第２号被保険者に扶養されている配偶者で、年収が１３０万円未満の人は、国民年金保険料を支払う必要はありませんが、受給年齢に達すれば、年金を受け取ることができます。
専業主婦（主夫）や、働いていても収入の少ない場合がこれに当たり、国民年金の「第３号被保険者」と呼ばれます。