面会交流を求める調停においては、調停員・裁判官、多くの場合は調査官を交えて、面会交流についての協議を行い、一定の合意に達すれば、その合意内容を調停調書に記載されます。この記載内容を調停条項といいます。
そして、調停調書の記載は確定した審判と同一の効力を持つとされており(家事事件手続法268条1項)、調停調書に記載された義務内容を履行しない場合には、原則として、強制執行することができます。
但し、調停条項に記載された義務について強制執行するためには、その義務内容が特定されている必要があるところ、面会交流についての合意は、その性質上、かなり概括的あるいは抽象的な合意にとどめておく場合があり、そのような場合には、後に強制執行することができないという問題が生じることに留意しましょう(この点については、後述します)。
面会交流の典型は、子を監護する親(以下「監護親」といいます。)が一定の日時において、監護しない親(以下「非監護親」といいます。)に子を引き渡し、一定の時間、非監護親と子との直接の面会を認め、面会交流終了後、監護親が非監護親から子を引き取るものです。
そこで、面会交流に関する調停条項の典型は、上記の一連の行為についての合意内容を記載することなります。具体的には、面会交流の回数(頻度)、日時、場所、引き渡しの方法、面会の時間、引き取りの方法などを記載します。
調停条項の記載は合意の内容に応じて記載されるものです。
これを具体的かつ詳細に記載しようとすれば、かなり細かい部分まで合意する必要があり、当事者が細かいことにこだわりだすと、そもそも合意に至らないリスクを伴い、また仮に合意できた場合でも実際の面会交流において調停条項に記載された内容に従うことに不都合の生じる場合において、柔軟に対応できないおそれがあります。
そのため、実務では、面会交流の回数(頻度)のみ決めて、残りの部分は別途両親の協議により決めるものとする旨を記載することが多いようです。
但し、面会交流の調停条項を抽象的・簡略的に記載した場合には、後の強制執行において執行すべき義務内容を特定することができないため、執行できないとされてしまうリスクがあります。なお、ここでいう強制執行とは、実際に子どもを強制的に監護親から引き離して非監護親に引き渡すことではなく(そのような強制執行の方法は直接強制と呼ばれており、面会交流のように一度だけでなく継続的に子どもの身体の移動を伴う義務の履行については直接強制はできないものと理解されています。)、一定の義務を履行しない間、一定の額の金銭の支払義務を負うべきことを命じる間接強制と呼ばれるものです。
面会交流の間接強制の可否について、最高裁判所は、調停調書・審判に基づく面会交流の強制執行を求めた裁判において、「面会交流の日時又は頻度、各回の面会交流時間の長さ、子の引渡しの方法等が具体的に定められているなど監護親がすべき給付の特定に欠けるところがないといえる場合」には間接強制することができるとの判断を示しました(最高裁平成25年3月28日決定)。
上記の判断基準に従い、最高裁は、面会交流の日時又は頻度、各回の面会交流時間の長さ、子の引渡し方法について具体的かつ詳細に特定された事例(この事例は調停ではなく審判の事例)については間接強制を認め、他方、面会交流の大枠のみ合意して、その具体的方法については別途協議する旨記載した調停調書に基づく間接強制は義務者の給付内容の特定に欠けるとして、これを認めませんでした。
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