(1)本裁判例は、原告(元妻)が、被告(元夫)において婚約成立後に他の特定の女性との間で男女関係を継続していたことを知ってしまったことから、
被告の背信行為により婚姻成立後わずか約一か月で婚姻関係を継続することが不可能となって協議離婚を余儀なくされたことについて、
被告に対し、結婚式費用や、新婚生活のための家具・電化製品購入費用、新居への引越費用等のほか、慰謝料の支払いを求めた事案です。
(2)本裁判例では、婚約成立後、婚姻までの期間内に、被告が女性と相当数な回数の性的関係を持っていたことを認定した上、
「原告と被告は、婚約が成立したのであるから、正当な理由のない限り、将来結婚するという合意を誠実に履行すべき義務を負っているから、それぞれ婚約相手と異なる人物と性的関係を持たないという守操義務を負っていたというべきところ、
被告は婚約成立後、Aという名前の女性と性的関係を持ち、しかも、結納後も、当該女性に対し執拗に性的関係を持つことを執拗に求めていたのであるから、婚約相手である原告の被告に対する信頼を裏切ったことは明らかである。
原告が、被告の不貞の事実を婚約中に知ったのであれば、被告との婚約を破棄し、結婚式を挙げることはせず、新婚生活を送るために準備もしなかったであろうこと、さらに、被告の不貞により多大な精神的苦痛を被るであろうことは当然に予測し得たというべきである。
そうすると、原告は、婚約中の被告の不貞を理由にして、不法行為に基づき、相当因果関係にある損害として、次の損害の賠償を求めることができるというべきである。」
と判示して、婚約成立後に婚約相手と異なる人物と性的関係を持つことに対して不法行為が成立するとの見解を示しました。
そして、慰謝料額については、被告が女性と性的関係を持っていたことによる原告の精神的ストレスが大きく、蕁麻疹・不眠状態等の症状まで出て医師の治療が必要とするまでになったことを考慮し、200万円が相当であると判示しました。
(1)一般に、不貞行為は、婚姻関係のある配偶者の一方が、配偶者以外の者と性的関係等の親密な関係を持ったことを言います。
そして、不貞行為をした者に慰謝料が請求できるのは、婚姻関係のある夫婦には平穏な夫婦生活を送るという利益を有しており、不貞行為により、その利益を害した行為が不法行為として評価されることが根拠となっています。
そうすると、婚約関係にある状態では、未だ平穏な夫婦生活を送るという利益は有していないことから、利益を害したとのいえないのではないかということが問題となります。
しかし、これについては、本裁判例のとおり、婚約関係にある当事者には、互いに婚約相手と異なる人物と性的関係を持たないという守操義務があるとし、その義務違反行為に対しては不法行為が成立するという判示をしており、この点で本裁判例は重要な意義があるといえます。
(2)もっとも、本裁判例では、慰謝料額については、原告の精神的苦痛の程度が大きいことを考慮して判断しているのみであり、婚約関係であることが慰謝料額の算定においてどのように考慮されているのかは不明です。
この点、婚約当事者の訴訟において、「婚約関係は、法的保護の必要性が低い」と判示した裁判例もあります(東京地判平成22年4月14日)。
そのため、婚姻関係のある配偶者が有している利益よりも、婚約関係のある当事者が有している利益の方が保護の程度が低いということを根拠に、婚姻関係がある場合よりも低い慰謝料額が認定される可能性もあると考えられます。
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