熟年離婚とは結婚してから20年以上を経た夫婦が離婚することをいいます。長い結婚生活、一緒に過ごしていれば色々なことがあります。子供の自立までは我慢し、自立したら離婚するという夫婦も少なくありません。定年までは「一家の大黒柱として家庭を支えなければ」と頑張ってきた夫も、定年になったらもう自分の責任は終わったと、離婚を考えることもあるかもしれません。

「離婚したい」と妻に申し入れたとき、妻も同意してくれれば、離婚届を出すだけで協議離婚ができます。まずは妻との話し合いが必要ということです。

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もし妻が離婚に同意してくれない場合には、家庭裁判所に離婚調停を申し立て、調停委員を交えて調停の場で話し合うこともできます。調停でも離婚に合意できず、それでもやはり離婚したい場合には裁判を起こす必要があります。

なお、裁判で離婚が認められるには、民法に定められた法定離婚原因が必要です（770条1項1～5号）。法定離婚原因がなければ、たとえ裁判を起こしても、離婚は認められません。少なくとも、「長年会話がない」という理由だけでは離婚は認められないと思いますから、他に「婚姻関係を継続し難い重大な事由」がないのであれば、離婚するのは簡単ではないでしょう。

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ところで、熟年夫婦の場合には、老後の生活を支えるのは年金ということになると思います。家計が1つの間はあまり問題になりませんが、離婚するとなると夫婦の年金受取額に大きな差が出ることがありますから、これをどうするか考える必要があります。

以前は、夫婦の年金受取額の格差により、離婚すれば妻が不利になってしまうケースが多くありました。こうした格差を解消するために、2007年に離婚時年金分割の制度が導入されており、現在は夫婦が離婚するときには、婚姻期間中に納めた厚生年金記録が少ない方は相手方配偶者へ年金分割を請求できるようになっています。
定年を機に妻と離婚するならば、妻から年金分割を要求されることが考えられます。その分自分の年金受給額が減ってしまうことになりますから、覚悟しておかなければなりません。

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また、離婚の際には財産分与として、原則として婚姻中に築いた財産の2分の1を妻に渡さなければなりません。既に定年が近づいている場合には、将来の退職金についても財産分与の対象となります。退職金を受け取る前に離婚したとしても、妻に退職金の一部を渡さなければならないことになります。

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熟年離婚したいのなら、年金分割や財産分与を含めて妻と話し合うところから始めなければなりません。残りの人生をどうしたいのかをよく考え、お互いが納得のいく結果になるようにしっかり話をしましょう。