婚姻費用の金額を取り決めた後でも、夫婦の協議で合意すれば自由に変更できます。
夫婦だけの協議で合意できない場合でも、事情の変更があれば家庭裁判所の調停または審判で増額・減額が認められる可能性があります。
婚姻費用の金額に法律上の決まりはなく、基本的には夫婦で話し合って決めます。夫婦が合意すれば自由に金額を決めることができますので、一度決まった婚姻費用でも話し合いによって増額・減額することが可能です
夫婦間の協議で合意できない場合や、そもそも話し合えない場合には、家庭裁判所が婚姻費用の金額を決めることもあります。その場合には、夫婦それぞれの収入や資産、その他一切の事情が考慮されます(民法760条)
そのため、婚姻費用を取り決めた後に事情の変更があった場合には、改めて家庭裁判所に婚姻費用の金額を決め直してもらえる可能性があるのです。
どのような「事情の変更」があれば婚姻費用の増額・減額が認められるのかについては、家庭裁判所が個別の事案ごとに判断します。これまでの裁判例を見ると、以下のような要件が示されています(名古屋高裁平成28年2月19日決定など)。
それでは、婚姻費用の増額が認められやすいケースと減額が認められやすいケースについて、それぞれ具体的にみていきましょう。
婚姻費用の負担は夫婦で分担すべきものであり、負担割合を決める際に最も重視される要素は夫婦それぞれの収入です。したがって、婚姻費用を受け取る側の収入が取り決め時よりも大幅に減少した場合には増額が認められやすくなります。
ただし、楽をしたいという理由で転職や退職をした場合にまで婚姻費用を増額することは公平ではありませんので、一定の稼働能力があるとされて、増額は認められない可能性もあります。
一方、勤務先の倒産やリストラ、親の介護のために働けなくなったなど、やむを得ない事情による場合は増額が認められやすいといえます。
婚姻費用を支払う側の収入が大幅に増加した場合も、増額が認められやすくなります。
ただし、定期昇給や残業の増加などによる多少の収入増加で、取り決め時に予想できた範囲内であれば、増額は認められない可能性もあります。
会社員なら役職への昇格や転職、自営業者なら新たな取引先の獲得などによって、大幅に収入が増加した場合には増額が認められやすいといえます。
婚姻費用を受け取る側や子どもの病気や怪我で医療費の負担が増大した場合も、増額につながる要素となります。
ただし、日常生活で一般的に要する程度の医療費は、以前に取り決めた婚姻費用に含まれているはずです。婚姻費用の増額が認められやすいのは、高額の医療費を要する重病や重大な怪我をした場合や、治療が長引き特別な支出が続くような場合です。
子どもの教育費の増大も、婚姻費用の増額につながる要素となります。
ただし、私立の学校や大学への進学費用は当然に婚姻費用として請求できるわけではありません。夫婦双方の収入や資産の他にも、学歴や職業などの社会的地位・進学に関する同意の有無や話し合いの状況などを総合的に考慮して、婚姻費用として分担することが公平といえるかどうかが判断されます。
とはいえ、現在の社会では子どもが私立の学校や大学に進学するのは珍しいことではないので、ある程度の増額が認められるケースが多くなっています。
次に、婚姻費用の減額が認められやすい「事情の変更」についてみていきましょう。
受け取る側の収入が大幅に増加した場合には、それだけ婚姻費用の分担能力が増すため、支払う側からの請求により減額が認められやすくなります。
ただし、多少の増収では婚姻費用の減額は認められません。以前に取り決めた金額のままでは当事者間に著しい不公平が生じるような大幅な増収があった場合にのみ、減額が認められます。
受け取る側が専業主婦であったものの、取り決め後に就職して収入を得るようになった場合は、婚姻費用が減額される可能性が高いといえます。
支払う側の収入が大幅に減少した場合も、婚姻費用を減額しなければ当事者間の公平を保てなくなる可能性があります。
もっとも、取り決め時と同程度の収入を確保する能力があるにもかかわらず、個人的な事情で退職や転職をした場合には、減額が認められない場合もあります。基本的には、勤務先の倒産やリストラ、病気、怪我などのやむを得ない事情によって減収した場合に減額が認められやすいと言えます。
一度決まった婚姻費用を増額または減額するためには、まず夫婦で話し合いましょう。話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所で手続きを行うことが必要です。
夫婦の話し合いで合意ができれば、すぐに婚姻費用を増額または減額してもらうことができます。特に、事情の変更が認められない可能性が高い場合や、事情変更の証拠が十分でない場合には、話し合いで決着をつけることが得策です。
相手方に対して、増額や減額の必要性を具体的に説明して理解を求め、じっくりと話し合うようにしましょう。
夫婦だけの協議で解決できない場合には、家庭裁判所に婚姻費用分担請求調停を申し立てます。
調停は家庭裁判所で夫婦が話し合って解決を図る手続きですが、調停委員が話し合いを仲介します。さまざまな助言や説得を交えて話し合いが進められるので、夫婦だけで話し合うよりも合意に至りやすくなります。
調停でも合意できない場合には、審判の手続きに移行し、裁判所が一定の判断を下します。適正な判断を下してもらうためには、事情の変更について具体的に説明した上で、証拠によって立証することが不可欠となります。
調停を申し立てる前に、弁護士への依頼をおすすめします。夫婦だけでは冷静に話し合えない場合でも、弁護士から冷静かつ論理的に説明してもらえば、話し合いによって柔軟に解決できる可能性があるからです。
調停・審判が必要となった場合でも、弁護士が代理人として的確に手続きを進めますので、婚姻費用の適正な増額または減額が期待できます。
一度決まった婚姻費用でも増額・減額できる可能性がありますが、必ずしも思いどおりに増額・減額できるわけではありません。
まずは事情の変更が認められるかどうかについて、弁護士に相談してみるとよいでしょう。そして、スムーズに解決するためには、弁護士に依頼して専門的なサポートを受けることをおすすめします。
事務所外観
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令和6年4月25日に名古屋家庭裁判所に夫婦関係調整(離婚)調停申立事件 について家事調停を申立てました。
令和6年4月10日に名古屋家庭裁判所に婚姻費用分担調停申立事件 について家事調停を申立てました。
令和6年4月3日に名古屋家庭裁判所岡崎支部に離婚請求事件 について審判が出ました。
令和6年4月2日に名古屋家庭裁判所に夫婦関係調整(離婚)調停申立事件 について家事調停を申立てました。
令和6年4月2日に岐阜家庭裁判所に離婚等請求事件 について審判が確定しました。
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