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離婚自体や離婚の条件について協議がまとまらない場合には,家庭裁判所に離婚調停を申し立て,裁判所で話し合うことになります。
離婚事件については,原則として訴訟に先立ち,家庭裁判所に調停の申立てをし,話し合いによる紛争の解決を図るべきものとされています(調停前置主義,家事事件手続法257条1項)。調停手続を経ずにいきなり離婚訴訟を提起すると,事件は原則として調停に付されることになります(同条2項)。
もっとも,相手方が行方不明であったり,外国に居住していたりして離婚の協議ができない場合には,調停手続を経ることなく,直ちに離婚の訴えを提起することができます。
相手方の住所地を管轄する家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所です(家事事件手続法245条1項)。
夫婦間で離婚について話し合う調停は「夫婦関係調整調停」といいます。申立書類一式とその記載例は,家庭裁判所に行ってもらうことができます。また,裁判所のホームページからダウンロードすることも可能です。
申立書類はチェック方式となっていますので,法律的な知識がなくても,記載漏れなく確実に作成することが可能です。
また,申立書以外の書類については,相手方に開示したくない理由を記載した非開示申出書を作成し,提出書類とホチキス留めをして一体として提出することで,裁判官に相手方からの閲覧・謄写申請を許可するかどうかを慎重に判断してもらうことが期待できます。源泉徴収票や給与明細等,調停での話し合いに必要な提出資料の一部に秘匿情報が記載されている場合には,秘匿すべき箇所を黒塗りし,マスキングしておくという対応が必要となります。
調停申立書と一緒に提出する事情説明書は,相手方からの閲覧・謄写申請があれば,一般的に許可相当とされる書面です。一方,進行照会回答書,非開示申出書は一般的に不許可相当とされています。
調停申立書が家庭裁判所に受理されると,調停期日が決められ当事者双方に通知されます。相手方には,申立書の写しとともに,手続説明書面,答弁書書式,連絡先等の届出書,進行照会回答書,非開示の希望に関する申出書の用紙が送られ,期日1週間前までに答弁書等の提出をするよう指示がなされます。
調停期日当日,申立人と相手方はそれぞれ別の待合室で調停開始を待ちます。調停開始時と終了時には,両当事者は調停室に入室し,調停委員から手続進行に関する説明を受けます(手続説明)。これは双方の言い分を聴く手続ではなく,手続の明確性,透明性確保と効率的な進行のために実施されるものですが,双方立会は強制ではなく,DV等の問題がある場合,心理的に強い抵抗がある当事者の場合には,それぞれ別に手続説明を受け,又は,代理人が代わりに手続説明に立ち会うことができますので,その旨申し出てください。
調停事件を担当する裁判所の調停委員会は,裁判官と調停委員(男女2名)で構成されますが(家事事件手続法248条),裁判官は常に同席するのではなく,進行について特に協議が必要な場合や調停の成立,不成立時にのみ出席します。
調停手続では,当事者が交互に調停室に入室して調停委員に実情を訴え,調停委員は必要に応じて裁判官と協議しながら,条理にかない実情に即した適正妥当な合意の形成を目指し,調整をします。調停期日は,調停が成立又は不成立となるまで,1カ月から1カ月半に1回程度の頻度で開かれます。(但し、7月から9月は、裁判官の休暇の関係で2カ月に1回程度になります。)
調停は当事者の自由意思に基づく合意により成立します。調停が成立した場合には,合意の内容を記載した調停調書が作成され,離婚は調停成立と同時に成立します。
調停の合意は確定判決と同じ効力を持ちますので,例えば相手方が申立人に一定額の金銭を支払うという合意が調停調書に記載されれば,不履行の場合には申立人は調停調書で強制執行を申し立て,相手方の給料等の財産を差し押さえてこれを回収することが可能です。
調停の合意は強制できるものではありません。合意ができなければ調停は不成立となります。この場合には,不成立調書が作成されます。
家事調停は,調停委員会のサポートのもとで法律的知識のない方,経済的に余裕のない方でも手軽に利用することができる話し合いの制度ですから,弁護士を依頼しなくても利用することが可能です。
ただ,高額な財産分与・慰謝料が生じるケース,DV案件で本人が一人で手続を行うことに不安が強いケース,争点が複雑で十分に調停で言い分を伝えられるか心配なケースでは,弁護士への依頼をした方が良いでしょう。弁護士が手続代理人となった場合でも,調停期日には本人も出席するのが原則です。少なくとも,離婚調停成立時には本人が出席している必要があります。
調停が不成立になったときは,家庭裁判所に離婚訴訟を提起することができます。裁判離婚が認められるためには,法定の離婚原因が必要です。
離婚訴訟を管轄するのは,「原告又は被告の普通裁判籍」(すなわち原告又は被告のどちらかの住所地)の家庭裁判所(人事訴訟法4条)です。
また,調停を行った家庭裁判所は,離婚訴訟の管轄がない場合でも,特に必要があると認めるときは,申立て又は職権で自ら審理・裁判ができます(人事訴訟法6条)。これを自庁処理といいます。
裁判離婚の場合に判決で離婚が認められるためには,民法770条1項各号に定められた離婚原因が必要ですので,原告は,離婚原因が存在することを主張・立証する必要があります。
法定の離婚原因は次のとおりです。
離婚訴訟では,離婚の判決とともに,未成年子がいる場合には,親権者の指定を行います。また,離婚訴訟では,審判事項である子の監護に関する処分(養育費,面会交流),財産分与,年金分割についての附帯請求(人事訴訟法32条)を求めることができます。附帯請求がなされた場合,裁判所は,離婚の判決とともに,請求事項についての附帯処分を行います。
離婚訴訟では,離婚とともに離婚(又は個別の不法行為)に基づく慰謝料請求を行うことができます。民事訴訟法では,数個の請求を一つの訴えでできるのは,同種の訴訟手続による場合に限られていますが,人事訴訟法では,その例外として,離婚等の人事訴訟に係る請求と当該請求の原因である事実によって生じた損害の賠償に関する請求とを一の訴えで行うことを認めています(人事訴訟法17条)。
調停離婚とは異なり,当事者本人の出席は必要とされていないため,通常は代理人のみの出席で対応されます。訴訟における審理は通常の民事訴訟事件の審理と基本的には変わりませんが,人事訴訟法に一部,民事訴訟とは異なる手続が定められており,また実務上も異なった審理方法がとられている場合があります。
ですから,被告が第1回口頭弁論期日に,答弁書を出さずに欠席した場合でも,裁判所は,必ず証拠調べを行います。公示送達による場合など,被告の欠席が見込まれる場合には第1回口頭弁論期日に本人尋問を行い,結審することもあります。その場合,陳述書などの書証や証拠説明書を訴状と一緒に提出しておく必要があります。
裁判離婚においては,離婚請求を認める旨の判決がなされたときは,判決が送達された日の翌日から14日間の控訴期間(控訴審の場合は上告期間)の経過によって判決(控訴審の場合は原審又は控訴審若しくは双方の判決)が確定し,その日に離婚が成立します。上告審の場合は,上告理由がないと判断されると上告を受理しない決定がなされ,言い渡しの時点で原審又は控訴審若しくは双方の判決(一部更生があれば決定も)が確定し,離婚が成立します。
和解・認諾の場合は,離婚する旨の和解が成立した時(和解離婚)及び裁判期日において被告が原告の離婚請求を認める旨述べた時(請求の認諾)に離婚が成立します(人事訴訟法37条1項)。なお,和解及び請求の認諾をするには,離婚の意思確認のため,当事者本人が期日に現実に出頭しなければなりません。また,請求の認諾による離婚は,未成年の子のいない夫婦間において離婚のみを求める場合に限られ,附帯処分の裁判を必要とする場合には認められません(人事訴訟法37条1項但書)。
DVは不法行為(民法709条)にあたり、被害者は加害者に対し、離婚請求のほか、治療費や慰謝料等の損害賠償請求をすることが考えられます。
慰謝料は、精神的苦痛による損害を賠償するものです。慰謝料には、精神的苦痛に応じて段階があります。DVを受けたことによる苦痛、これにより離婚を余儀なくされたことによる苦痛です。両者の間には違いがあると考えられており、金額も相応に差があります。
また、慰謝料の金額を判断するにあたっては、暴力の種類や、期間、離婚に至ったか等の諸要素が考慮されます。
大阪高裁平成12年3月8日判決。これは、従前より妻に暴力を振るってきた夫が、妻に対して、一本背負いで投げ飛ばす、妻の顔面、頭、腰を何度も殴る蹴るなどの暴行を加え、妻に右鎖骨骨折、腰椎椎間板ヘルニアの傷害を負わせ、運動障害の後遺症が残った事案です。裁判所は、離婚自体についての慰謝料として350万円、入通院についての慰謝料として100万円、後遺症傷害についての慰謝料として500万円というように、慰謝料の内容、判断要素を細かく分析して判断しています。
他方で、慰謝料請求が認められないこともあります。これは、加害者によるDVは確かに問題であるものの、その責任の一端が被害者にあり、離婚により十分精神的苦痛は解消されたという判断がなされる場合に多いと言えます。
東京地裁昭和55年6月27日判決。これは、夫から妻に対して暴力があり、妻は顔、頭部挫傷により10日間入院したこともあったという事案です。ただし、妻は他の男性と不貞行為に及んでいました。裁判所は、DVがあったにもかかわらず、妻の慰謝料請求を認めませんでした。
慰謝料請求が認められるか否か、認められるとしていくら認められるのかは、個々の事案に応じた判断となるので、単純にこのような場合はいくら、と言うことは困難です。慰謝料請求が絡む場合、事実の想起や整理、主張をすることは難しいですし、どの程度が妥当な金額なのか予想して話し合いに臨むことも難しいです。
ただでさえ悩みを抱えている被害者としては、専門家に相談、依頼した方が、安心して生活の再建に取り組むための近道となります。
生活費を渡さない経済的暴力に遭っている場合、財産を持たずにDVから逃れた場合、生活費を工面するのに悩むことになります。そこで、以下のような方策が考えられます。
夫婦には婚姻費用を分担する義務があるので、これを請求することが考えられます。婚姻費用とは、「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。」と規定する民法第760条を根拠とするものです。具体的には、夫婦や子の生活費、教育費、医療費などが含まれます。
ただし、加害者に婚姻費用を支払うよう求める際、DVの加害者と直接連絡をとることは、危険が伴う点、素直に応じることが考えられない点から、現実的ではありません。そこで、安全に、かつ説得の可能性を高めるために、家庭裁判所に婚姻費用分担調停を申し立てることが考えられます。DV被害者であることをあらかじめ裁判所に伝えておけば、調停室や待合室で加害者と顔を合わせないよう配慮してもらえます。また、調停委員が間に立ち、説得にあたることで加害者が支払いに応じる可能性が高くなります。
また、弁護士に依頼すれば、代理人として加害者と連絡を取ってくれます。
なお、調停がまとまらなければ、自動的に審判手続に移ります。調停・審判により決まった婚姻費用を、加害者が支払わない場合、裁判所による強制執行により、支払わせることができます。
収入がなく、日々の生活にも困るような場合、生活保護を申請することも考えられます。通常、扶養義務者がいる場合、それらの者に対して扶養の意思と能力があるか、照会がなされます。DV加害者に照会されれば、居住エリアが判明したり、加害者が扶養すると回答して生活保護の受給を妨害するなどの危険があり、中には申請を躊躇する人もいるかもしれません。
しかし、DV被害者が生活保護を申請するとき、加害者に扶養を求めることが自立を阻害することになり、かつ、明らかに扶養することが期待できない場合は、照会を行わず支給する運用となっています。
また、生活保護と併せて紹介したいのが、生活困窮者自立支援制度です。自立相談支援事業、一時生活支援事業や就労訓練事業を中心としたものです。生活困窮者を対象とした制度ですが、生活の苦しいDV被害者も利用することができる場合があります。
まずは、DV被害者はシェルターに避難することを考えてください。ただし、あくまでシェルターは一時的な避難所です。したがって、DV被害者は新たな生活の本拠を見つけなければなりません。この場合、公営住宅への入居が考えられます。DV被害者は、公営住宅の本来の対象ではありませんが、居住の安定を図り、自立を支援するという観点から、公営住宅を使用することが可能とされています。もっとも、利用期間の制限が課されることがあります。
質問者:女性
結婚して20年、子供が18歳と15歳です。
10年ほど前から、夫は遠方で単身赴任しています。
最初のうちは、1ヶ月に1回程度、戻ってきておりましたが、ここ2年ほど家に帰ってきていません。
子供とともに時々会いに行っていましたが、最近夫から離婚を匂わせるような態度が続いたため、
最近は子供だけで会いに行っています。
私は、離婚したくないのですが、夫から離婚請求があった場合、離婚させられてしまうのでしょうか?
夫からの離婚請求が認められる可能性は高くないと考えられます。
夫婦の一方が離婚を拒否する場合に、裁判で離婚が認められるには民法が規定する離婚事由があることが必要です。離婚事由は①不貞行為②悪意の遺棄③3年以上の生死不明④回復の見込みのない強度の精神病⑤婚姻を継続しがたい重大な事由の5つです。
これらの理由がない場合には離婚ができません。
本件では夫が、「別居期間が長く、夫婦生活が完全に形骸化しているために婚姻を継続しがたい重大な事由がある」と主張してくることが考えられます。確かに別居期間が長ければ夫婦生活は形骸化していると判断される可能性は高まります。
しかし、本件のように別居の理由が単身赴任であるような場合には夫婦関係が破たんしている別居とは異なると判断されるでしょう。特に2年前までは夫も月に1度程度は帰宅しますし、夫の態度が変わった最近までは妻も単身赴任先に定期的に行っているのですから、婚姻生活が形骸化しているとは判断されないと考えられます。
夫の離婚したい原因が浮気などの場合には有責配偶者からの離婚請求としてさらに離婚のハードルは高くなります。
この場合は有責配偶者からの離婚請求として①夫婦の別居が両当事者の年齢及び同居期間との対比において相当の長期間に及ぶこと②夫婦に未成熟子がないこと、③相手方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて過酷な状態におかれる等離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情がないことが考慮されることになります。
夫が離婚したいと言ってきた場合は離婚に応じる必要はありません。
ただ、夫からの離婚の申し出を拒んだ場合には、夫が離婚調停を申立ててくることが考えられます。離婚調停になった場合にも離婚を拒み続けることは可能ですが、調停・訴訟と争っている間に長期間の別居続くことで、結局婚姻関係が破綻していると認められてしまう場合があります。
夫が離婚を申し出てきた時点で、今後どのように対応するのがよいのか、中長期的な対応をも含めて検討して最も有利な解決を目指すべきです。離婚問題に強い弁護士に相談されることをおすすめします。
質問者:女性
結婚5年目で、子供が3歳になります。
子供が生まれた直後から、夫と教育方針などで言い争いが絶えなくなり、現在はあまり仲がよくありません。
今では、家の中でほとんど口も利かず、家庭内別居状態です。
しかし、お互いに子供と離れるのがいやで、離婚に踏み切れません。
また、私は特に収入もなく、病気がちのためフルタイムの仕事ができないため、離婚した場合の生活が不安です。
夫と離婚して、子供と二人で安定的な生活を送るためには、どうしたらいいでしょうか?
まずは、実際に子供と2人で生活をすることになった場合にどのような公的援助を受けることができるのかを、市役所や区役所で相談しましょう。また、離婚問題に強い弁護士の法律相談等で、離婚で得られる財産分与、養育費、親権、面会交流の問題、年金分割、別居中の婚姻費用等について聞いて事前に検討して下さい。
その上で、なお離婚を選択される場合には、夫婦で親権や監護権、面会交流、財産分与や養育費、年金分割などの条件も含めた離婚についての話し合いをし、これがまとまらない場合は離婚調停を申し立てることが考えられます。
本件では、妻が病気がちでフルタイムで働くことができないということですので、子供と二人で経済的に安定的な生活をおくるためには、公的援助、ご実家の援助、夫からの養育費または財産分与等により生活費を確保する必要があります。まずは、離婚を切り出す前に、これらの見通しを確認して下さい。
夫婦間で離婚及び離婚条件についての話合いがまとまれば、離婚届を提出することで離婚が成立します。
離婚自体、あるいは親権者・監護権者、養育費、財産分与、面会交流などの条件で合意に達しない場合は、家庭裁判所に調停を申したてて離婚する調停離婚の方法をとることが考えられます。
調停は非公開で、夫婦を交互に調停室に呼んで、事情を聴収しながらお互いに合意できるところを探っていきます。調停離婚では条件面も含めて解決をすることができます。
それでも話し合いがまとまらなければ、離婚裁判による解決を求めることになります。
調停の場では、身体が弱く働けないために経済的不安があることなど、離婚に際して伝えたいことを調停委員にきちんと伝えましょう。調停委員に話を効果的に伝えることに不安があれば離婚に強い弁護士に相談することをおすすめします。弁護士に相談することで自分に不利な条件を安易に飲んでしまうといった失敗も防ぐことができます。
質問者:男性
Q. 結婚して10年になります。結婚前から妻はうつ病でした。
先日、妻が「買い物に行く」といって出て行ったっきり、かえってきませんでした。
その数日後、妻の代理人弁護士から手紙が届きました。
手紙には、妻が離婚を希望していること、私のモラルハラスメントにより深く傷ついているため慰謝料を300万円支払うことを要求する旨の内容が書かれていました。
私と妻は時々口げんかをしたことはありますが、モラルハラスメントをしたような記憶はありません。
妻と離婚について話し合ったこともないため、どうしても妻と直接話し合いたいです。 どうしたらいいでしょうか?
妻の言い分を聞くため、そして、こちらの言い分を主張するために妻の代理人弁護士に連絡をとりましょう。
モラハラとは、モラルハラスメントの略で、言葉や態度などによって、人格や尊厳を傷つけたり、精神的に傷を負わせるような行為をいいます。
著名人の離婚裁判で、モラハラは離婚原因になるというイメージが広まりつつありますが、モラハラというもの自体あいまいな概念ですし、これ自体が直ちに離婚原因となるものではないと考えられます。
モラハラは、モラハラであるとされる行為が民法で規定された離婚事由のひとつである「婚姻を継続しがたい重大な事由である」と認められた場合に離婚原因として認められることになります。
いずれにしても、妻がどのような行為をもってモラハラと主張しているかが重要になるでしょう。
妻がモラハラであると主張する行為が具体的にどのようなものなのかを知り、これに対して反論をすることが必要です。場合によっては、夫婦げんかのひとつに過ぎず、「婚姻生活を継続しがたい重大な事由」とまではいえないと判断されるかもしれません。
しかし、もしかすれば、夫に自覚がなくても、そのような行為はモラハラであると判断されるかも知れません。
いずれにしても、まず、妻の弁護士と話し合い、妻と直接話ができるかを尋ねてみてはいかがでしょうか。
ただし、妻が出て行った状況と、モラハラの主張をしていることからすると、直接の話し合いは拒否される可能性もあります。反応をみて、話が複雑になりそうであると感じた場合はこちらも弁護士に相談して、解決の手助けを得ることをおすすめします。
質問者:男性
Q. 結婚して10年になります。結婚前から妻はうつ病でした。
現在、子供が5歳になります。
2年前から妻のうつ病が悪化し、現在は仕事、家事、子育て、妻の看病全てを私がやっている状況です。
精神的な負担がとても大きいため、離婚して、実家に戻りたいです。
このような状況で離婚は可能でしょうか?また、子供の親権は私が持つことはできるでしょうか?
離婚し、子どもの親権を持つことができる可能性があります。
民法770条1項で規定する5つの離婚事由の中の第4号に「強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき」が、あります。妻のうつ病が回復の見込みのない強度の精神病と認められれば離婚事由になります。もっとも、うつ病では「回復の見込みのない強度の精神病」とまでは認められないケースが多いようです。また、精神病を理由に離婚を認めることに対して裁判所はこれまでの看護状況や、精神病をもつ配偶者の今後の受け入れ先や生活などを考慮した上で慎重に判断する傾向があるようです。
他方、妻が本当は家事や子育てを行える病状にも関わらず、これに協力する気がないよう場合には、離婚事由のひとつである第2号の「悪意の遺棄」にあたる可能性があります。また、仕事、家事、子育て、妻の看病全てをすることによる過大な精神的負担があるということらすれば、離婚事由である第5号の「婚姻を継続しがたい重大な事由」があると判断されうるとも考えられます。
従って、770条1項の第4号ないし第2号と第5号の離婚原因を主張していくことになります。この第5号の「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」に該当すると判断される可能性が高いです。
子の親権については、妻と争うことになれば裁判により決定することになります。親権者は子供にとってどのようにすることがよいのかという観点から決せられます。これまで、育児のすべてを行ってきたというのですから、妻には育児は不可能であり、子供の利益のために夫が親権を持つことが最も良いということを主張することになるでしょう。
妻との協議や話し合いが不可能なようでしたら、離婚裁判を提起します。裁判にたえられない病状であれば、家庭裁判所に後見開始の審判を申し立てて、選任された後見人を相手方として離婚訴訟を提起することになります。
答弁後見の手続きや、親権の争いがあることが予想されますので、不安があれば離婚に強い弁護士に相談することをおすすめします。
質問者:女性
Q. 6年前に夫が家からいなくなりました。
理由も何もいわず、いなくなったため、警察に捜索願を出しましたが、いまだに見つかりません。
1年前からお付き合いしている男性がいるのですが、最近結婚を申し込まれました。
私としても夫と離婚をして、お付き合いしている方と結婚したいと思うのですが、できるのでしょうか?
夫が行方不明の場合、協議・調停離婚することができないので、裁判で離婚が認められる必要があります。本件の場合、法定の離婚原因に当たり裁判上離婚が可能であると考えられます。
また、再婚禁止期間の例外に当たりますので、離婚後すぐに再婚することができます。
民法は5つの離婚原因を定めています(770条1項)。本問は6年前に家からいなくなり、いまだ見つかっていないということなので、離婚事由のうちの3号の「3年以上の生死不明」に当たることが考えられます。これは、最後に音信や消息があったときから、生死が不明の状態が3年以上続いていることを指します。
もっとも、「生死」が不明の場合ではなくてはならないので、生きていることははっきりしているが、ただ所在が分からないという場合はこの離婚事由にはあたりません。しかし、この場合は、他の離婚事由のうち2号の「悪意の遺棄」に該当する可能性があります。民法上、夫婦は同居義務や扶助義務、協力義務があります。これをあえて果たさないような場合が悪意の遺棄となりますので、自らの意思で家を出てこれらの義務を果たさないことは離婚事由となる可能性があるのです。また、離婚事由の第5号の「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」に該当する可能性があります。
家庭裁判所に対して離婚訴訟を提起して、離婚判決を得ることになります。訴状は原則として妻の住所地又夫の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に提出することになります。
裁判では、相手の生死不明を立証することになりますが、その際には警察に捜索願を出すなど手を尽くして夫の所在を捜索したことを主張することになります。裁判でこの主張が認められれば、離婚判決が出ますので、その後は再婚をすることが可能となります。
3年以上の生死不明による離婚判決が確定すれば、その後夫が家に帰って来るなどしても離婚判決が取り消されたり、無効になったりすることはありません。
裁判離婚になりますので、不安があれば離婚に強い弁護士に相談することをおすすめします。
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