夫婦は離婚により独身に戻ります。
そして、離婚後、新しいパートナーと再婚する場合には、いくつか注意すべき点があります。
女性は法律上の再婚禁止期間の規定により離婚後一定期間は再婚できません。
また、再婚により新しい家庭での生活が始まると養育費の支払いに影響することがあります。
この点は、再婚した相手と連れ子との養子縁組の問題と関連します。
今回は離婚後の再婚に関する注意点について詳しく解説します。
女性は原則として離婚してから100日経過しなければ再婚できません(民法733条1項)。
これは離婚時に前の夫の子を妊娠していた場合、離婚後にすぐ再婚することを認めてしまうと出産した子の父親が前の夫なのか、再婚後の夫なのか、分からなくなってしまうからです。
かつては女性の再婚期間は6ヶ月間でしたが、平成28年の民法改正により100日間に短縮されました。
民法には、婚姻から200日後または離婚から300日以内に生まれた子は婚姻中に懐胎したものとして、その子の父親は夫であると推定する規定が置かれています(民法772条)。
そのため離婚から100日経過すれば父親の特定に問題は起きないことから再婚禁止期間は100日間に短縮されたのです。
ちなみに再婚禁止期間は父親の特定に混乱を生じさせないための制度ですから、
(1)離婚時に懐胎していなかった事実を証明した場合、
(2)離婚後に出産した場合
には適用されません(733条2項)。
離婚した夫婦に未成年の子がいる場合には親権者にならなかった親は養育費の支払義務を負います。
この養育費の支払義務は生活保持義務といい、相手に自分と同じ水準の生活を送ることができるようにすべき義務と考えられています。
それでは、子どもを養育する親が再婚した場合には、新たな家庭において子どもを養育することになるため、養育費をもらえなくなってしまうのでしょうか。
ここでポイントになるのは再婚相手と連れ子との養子縁組の有無です。
なぜなら養子縁組した場合には法律上の親子になるため、扶養義務が発生するからです。
過去には再婚相手が連れ子を養子にしたケースにおいて再婚相手に十分な収入があるとして養育費の支払義務を否定した裁判がありました。
もちろん、再婚相手に扶養義務があるとはいえ、十分な収入がなければ養育費の減額は認められるとしても一切の負担を免れることにはなりません。
他方、再婚相手が連れ子を養子にしなかった場合には、再婚相手には扶養義務は発生しませんから、再婚の事実自体は養育費の支払義務に影響しません。
とはいえ、再婚後の生活状況により親権者である親の収支は影響を受けますから、養育費の支払額に影響を与えることはあります。
再婚相手の収入が少ない場合には、むしろ親権者の収入が再婚相手の生活費として流れるため、むしろ養育費の増額が認められることもあるのです。
離婚して子どもと一緒に暮らさない親と子どもの面会交流を実施することがあります。
そのような場合に親権者である親が再婚して、前の夫と子どもを会わせたくないとのことから面会交流を拒否するケースは少なくありません。
それでは親の再婚は面会交流を拒否する理由になるのでしょうか。
そもそも面会交流は両方の親との交流して双方から愛情をもらうことが子どもの健全な成育にとって不可欠であることから認められるものです。
ですから、いくら再婚したとはいえ、子どもの利益の観点から面会交流を否定する事情のない限り、面会交流を拒否することはできません。
但し、たとえば、親権者である親が、婚姻中の浮気相手と再婚したため、子どもと一緒に暮らさない親が、再婚相手に対する悪感情から、面会交流において再婚相手に対する罵詈雑言を子どもに聞かせるなど子どもの精神衛生上悪影響を及ぼすような事態が起きた場合には面会交流を制限する理由になります。
離婚後に再婚する場合にはいくつか注意すべきことがあります。
まず、女性には再婚後に出産した子の父親を特定できなくなる問題を避ける関係から離婚後100日間は再婚できないという再婚禁止期間のルールがあります。
また、再婚後の再婚相手と連れ後との養子縁組の問題や再婚による家計状況の変化を理由とする養育費の支払義務の変更の問題があります。
さらに、再婚を理由に面会交流を拒否することの可否の問題が生じることもあります。
こうした離婚後の再婚に伴う問題については簡単には解決できない法律上の問題を含んでいますから、悩んだときはすぐに弁護士に相談するようにしましょう。
離婚後の人間関係のトラブルに巻き込まれることがあります。
職場結婚した場合には離婚後に元配偶者と同じ職場において働き続けることは苦痛を伴うこともあるでしょう。
また、元配偶者との共通の友人との関係が離婚により悪化することもよくある話です。
さらには自分の家族との関係、子どもとの関係など離婚により影響を受ける人間関係は案外多いものです。
今回は、こうした離婚後の人間関係のトラブルなどについて解説します。
配偶者と同じ職場の場合には離婚により居づらさを感じるでしょう。
もちろん、仕事とプライベートをハッキリと割り切ることのできる強い気持ちと応援してくれる同僚がいれば乗り切ることもできるでしょう。
しかし、たとえば、離婚後に婚姻中の悪評を元配偶者に言いふらされるなどの仕打ちを受け孤立無援の状態になれば、その職場を離れることも考えた方がよいでしょう。
働く場所は決して1つではありません。
仕事以外の面において精神的に負担の強い職場で無理して働き続ける必要はありません。
大人であれば友人関係も千差万別です。
幼い頃からの親友からママ友・パパ友まで関係を築いた動機や関係の深さも様々です。
離婚により幼い頃からの親友との縁が切れてしまうことはないでしょう。
むしろ、離婚後に一人になり精神的に不安定なときこそ、そのような親友に話を聞いてもらうことは大切でしょう。
逆に、結婚してから築いたママ友・パパ友や元配偶者との共通の友人などは離婚により縁遠くなることもあり得ます。
それでも構わないのであれば、それで良いとは思います。
むしろ離婚により、それまで味方になってくれていた友人が悪口を言い出すようなときには、積極的に距離を置く方がよいこともあるでしょう。
離婚後の生活面に不安のある場合には一旦実家に戻るなどして親族を頼らなければいけないこともあります。
通常であれば、親族であれば、困ったときに助けてくれるはずです。
しかし、ときには、離婚は家の恥であるとして離婚により親族との関係を悪くしてしまうケースもあるようです。
実際、実家に戻っても居場所がなく、すぐに外に出たいと思うようになることもあり得ます。
他方、離婚後に元配偶者の親族から悪評を立てられることもあります。
過度に悪質な言動の見られる場合には名誉毀損を理由として慰謝料を請求するなどの対応を検討しましょう。
離婚により親子関係が解消されるわけではありません。
しかし、現実問題として、それまで一緒に生活していた子どもと離れて暮らすようになれば、どうしても子どもとの関係は薄れていくことになります。
これを子どもの視点から見れば自分にはどうすることもできない理由から一方の親と離れて暮らすことを強いられることになるのです。
子どもの健全な成育のためには面会交流を通じて両親からの愛情を受けることが大切であると言われています。
また、子どもは離婚した双方の親に気を使い素直な気持ちを吐露できずに抑圧してしまうことがありますから、離婚後に子どもと接するときには、そのような事情に配慮してあげることが大切です。
間違っても元配偶者の悪口を子どもに延々と聞かせるなどしないよう注意しましょう。
離婚により影響を受ける人間関係は様々です。
特に職場結婚した場合の職場の人間関係、元配偶者との共通の友人などは離婚を境に極端に距離を置かれたり、最悪悪評を流されるなど、離婚が大きなマイナスに働くこともあります。
逆に幼いころからの親友などは離婚して関係が壊れるものではありません。
離婚後の精神的に不安定な状態のときには素直に気持ちを出せる人間関係を大切にして、自分にマイナスになるような人間関係については思い切って解消してしまうことも考えなければならないでしょう。
離婚後の人間関係に悩んだときには独りで悩み続けるのではなく、親友やカウンセラーなど親身に相談に乗ってくれる人を積極的に利用しましょう。
離婚に至る原因・経緯は夫婦それぞれ。
仕事上のすれ違い、性格の不一致から婚姻中の浮気・DVなど。
いずれにせよ、少なくとも夫婦の一方は婚姻生活に何かしらの強い不満を感じていたはずです。
とすれば、離婚により婚姻中の不満は解消され新たな気持ちで再スタートを切れるはず…。
しかし、実際には離婚することにより全て問題解決というわけにもいかないようです。
今回は離婚後に生じる問題の中から特に精神面の問題にスポットを当てて解説します。
離婚に限った話ではありませんが、人は環境の変化に対して強いストレスを感じることがあります。
それまで円満ではなかったにせよ、結婚生活を続けてきた環境は離婚により一気に変化します。
まず、離婚により孤独を感じることがあります。
離婚はパートナー、子ども、住んでいた家、ママ友・パパ友など様々なものの喪失を伴います。
こうした喪失により、人は孤独感に苛まれることがあります。
また、そうした孤独の中、離婚した後も人生は続きます。
仕事には行かなければなりませんし、並行して、離婚に伴う諸手続をする必要もあります。
離婚により変わってしまうものと変わらないものに囲まれることにより精神が不安定になり追い詰められてしまうこともあるようです。
離婚に至る経緯の中では、一度は結婚したパートナーの悪い部分、裏切り、耐えられない仕打ちに直面することもあります。
こうした経験は離婚した後にトラウマとして心の中に影を落とし続けることがあります。
人を信頼することができなくなり恋愛だけではなく普通の人間関係の形成に対しても悪影響を及ぼすこともあります。
それでは離婚後に直面するストレスやトラウマを克服するにはどうすればよいのでしょう。
離婚後に何らかの精神的な問題を抱えることは何もおかしなことではありません。
ある意味では、当たり前のことです。
ですから、そうした負の感情を抑圧することなく表に出すようにしましょう。
たとえば、心療内科などの医療機関におけるカウンセリングや親しい友達との会話の中では、素直な気持ちを隠すことなく話すようにしてみましょう。
離婚に至った原因や婚姻中のトラブルなどは過去に起きたことであり、いくら考えても仕方のないことです。
そうした状態では、いつまでも過去に捕らわれ、どうにもならないことにストレスを感じ続けることになってしまいます。
離婚は悲しいことかもしれませんが、前向きにとらえれば、結婚により制限されていた自由を取り戻すことでもあります。
ですから、結婚生活ではできなかったこと、やりたかったことを始めてみることで気持ちを切り替えることができるかもしれません。
何か夢中になることを見つけて、いい未来になることを考えることができれば、離婚など些細なことに思えてくるはずです。
離婚は苦しくて辛い婚姻生活からの解放という側面を持つと同時に喪失・トラウマという精神的問題を引き起こす可能性があります。
もっとも、そのような離婚後の精神的問題を抱えること自体は何も特別なことではなく、人間であれば誰でも経験することです。
とはいえ、実際に問題を抱えている以上、少しでも早く問題を解消できるに越したことはありません。
具体的には、カウンセリングや親しい友人と話をして自分の気持ちを抑圧しないで解放するようにしましょう。
また、前向きに新しいことを始めるなどして変えることのできない過去に捕らわれることなく生きていく状態を早めに作るようにしましょう。
精神的問題はどうしても主観が邪魔をして自力では解決できないこともあります。
そういうときは心療内科や臨床心理士などの専門家を頼り、問題の解決のための助言をもらうようなことも大切になるでしょう。
とにかく一人で悩まないでください。
その他、離婚後の生活について詳しくはこちら
夫婦であれば、婚姻中の家事・育児を分担していることも多いでしょう。
しかし、離婚すれば、当然のことながら、婚姻中のように家事・育児を夫婦で分担することはできなくなります。
実際、離婚後に離婚前には想像しなかった一人での家事・育児の苦労を感じることもあるようです。
今回は、離婚後の家事・育児に関する注意点について解説します。
最近、巷ではワンオペ〇〇という言葉を耳にすることがありませんか。
ワンオペとは「ワンオペレーション」の略語であり、一人で全ての作業を行うことを意味します。
つまり、ワンオペ家事・育児とは、一人で家事・育児の全ての作業を行うことをいいます。
家事や育児を全てひとりでこなすことは非常に大変なことです。
周囲からは「エライね!」と褒められることもあるかもしれませんが、だからといって、頑張りすぎて心や体を壊さないように注意しなければなりません。
もともと「ワンオペ」という言葉はコンビニやファーストフード店などにおいて従業員一人で店の全ての作業を任されることにより過酷な労働環境を強いられることの問題提起として使われるようになったものです。
同じように、ワンオペ家事・育児という言葉も一人で家事や育児のすべてをこなすことの過酷な環境により心身の問題を抱えてしまうことに対する警鐘として用いられることが多いです。
婚姻中のワンオペ家事・育児の問題であれば夫や妻との家事・育児の分担により、ある程度の問題解消を図ることができます。
ところが、離婚後のワンオペ家事・育児の場合には、そのような分担できる相手のいないケースがありますから、問題は複雑です。
まず、離婚後のワンオペ家事・育児の問題を事前に予想できる場合には、離婚後、実家に帰省するなどして、少しでも家事・育児を分担してもらえる人と同居することを検討しましょう。
また、どうしても家事・育児を分担してもらえる人と同居することが難しい場合には、ひとりで行うべき家事・育児の量を減らすことができるよう工夫しましょう。
たとえば、家事・育児代行サービスの利用です。
もちろん、こうしたサービスを利用するにはお金が掛かります。
それでも、最近では、家事・育児代行サービスの料金自体、以前よりリーズナブルになってきており、週1回(月4回)利用した場合の料金相場は2万円〜3万円くらいです。
婚姻中であれば、家事・育児は夫婦により分担できます。
しかし、離婚すれば相手方配偶者に家事・育児の分担を頼むことはできません。
つまり、離婚後の家事・育児は最悪すべて自分ひとりの負担になり得るのです。
このような事態は非常に過酷であり、ワンオペ家事・育児の問題と同じ状況になります。
離婚する前に離婚後の家事・育児については全く考えていないと、このようなワンオペ家事・育児のために辛い現実に直面してパニックになってしまう可能性があります。
ですから、離婚する前に離婚後の家事・育児について、よく考えるようにしましょう。
まず一番に検討したいのは、離婚後の家族との同居です。
家族と同居できれば家事・育児の分担できる人と暮らすことになりますからワンオペ家事・育児の問題は改善するでしょう。
また、もし家族と同居することが難しい場合には、家事・育児代行サービスの利用することも1つの解決策になり得ます。
但し、この場合には、相応の金銭的負担を伴いますから、自分の経済事情を考慮する必要がありますし、現実的に難しいこともあるでしょう。
ワンオペ家事・育児は離婚の原因にもなり得るほど心身に大きな負担をもたらすものです。
離婚後の家事・育児を全て一人で頑張ろうとして無理をすれば心と体は壊れてしまいます。
一人で悩まないで、辛いときは専門家や知人などに相談してみるようにしましょう。
本当は離婚したいのに離婚に踏み切れない理由として、離婚後の生活に強い不安を覚えるという点を挙げる方が多いようです。
たしかに、離婚すれば、もう夫婦ではなくなりますから、自分の生活は自分ひとりの力で支えなければなりませんし、家事や育児を夫婦で分担するということもできなくなります。
しかし、離婚後の生活に対する漠然とした不安を抱えたまま、いつまでも不満を募らせたまま結婚生活を続けることは必ずしも良い選択とはいえないでしょう。
そこで、今回は離婚後の生活に関する様々な不安を解消するための方策について解説したいと思います。
特に専業主婦・主夫の配偶者と離婚した人は離婚後の家事の負担を思い知らされるでしょう。
婚姻中にほとんど家事をしたこともない人は、離婚する前に、一度離婚後の家事について良く考えるようにしておきましょう。
また、同じように婚姻中、ほとんど育児をしてこなかった人が未成年の子の親権者となり育児をする場合も同様です。
他方、婚姻中に主として育児をしてきた人でも、離婚後は全て一人での育児になります。
特に、離婚後は家計を支えるために婚姻中より多くの時間を仕事に費やさなければならない場合もありますから、その場合の仕事と家事・育児のバランスのとり方については十分に考えておくべきでしょう。
離婚はそれまでの辛い婚姻生活から解放される喜びであることも多いでしょうが、逆に精神的に負の要因にもなり得ます。
離婚によるパートナーの喪失は悲しみと絶望感を残すことがあり、離婚後はしばらく不安定な精神状態に追い込まれることがあります。
また、婚姻生活を軸として形成された人間関係が一変して強い孤独を感じることもあります。
さらに、離婚後の新生活に向けてこなさなけばならない様々な雑務が更に追い打ちを掛け、焦燥感に襲われることもあります。
このように離婚後の精神状態は離婚前に想像していたものとは違い、非常にネガティブなものになる可能性のあることを忘れてはいけません。
ですから、離婚前に、離婚後の精神衛生を保つ手段を考えておくことは非常に有益なことだといえます。
人によっては周囲の人に離婚したことを言いたくない、隠したいと思われるでしょう。
しかし、離婚後の生活では婚姻中には感じなかった強い不安やストレスを感じることもあるでしょうから、身近に離婚したことを打ち明け親身になって相談を聞いてくれる友人を作っておくべきでしょう。
離婚したことを言い出せないために一人で悩み事を抱えたままでいると精神を病んでしまう危険すらあります。
離婚後に新しいパートナーに巡り合い再婚を考えることもあるでしょう。
その場合には、再婚禁止期間の存在に注意しましょう。
女性は離婚して100日を経過しなければ再婚できないことになっています。
この再婚禁止期間は子の父親が前の夫の子なのか、新しい夫の子なのか、分からなくなるのを防ぐための制度です。
そのため、男性の場合は再婚禁止期間の制限はなく離婚してすぐに再婚できます。
離婚後の生活面でのマイナス点は離婚前には想像もしていなかったようなものであることがあります。
ですから、離婚する前に必ず離婚した後の生活を想像した上、少しでもマイナス点を解消できるための方法を事前に考えておくようにしましょう。
また、離婚後の再婚について女性には再婚禁止期間がありますから、離婚前から交際していたパートナーと離婚後に再婚する場合には注意しましょう。
離婚は単なる婚姻関係の解消を意味するものではなく、実際には社会生活や精神面において大きな影響を与えるものですから、離婚について不安や悩みを抱えている場合には、ひとりで悩まないで弁護士などの専門家に相談するようにしましょう。
12月2日 名古屋家庭裁判所にて、財産分与調停申立事件について家事調停を申し立てました。
12月4日 名古屋家庭裁判所にて、婚姻費用分担調停申立事件について家事調停を申し立てました。
12月12日 名古屋家庭裁判所にて、夫婦関係調整(離婚)調停申立事件について家事調停を申し立てました。
12月13日 名古屋家庭裁判所岡崎支部にて、夫婦関係調整(離婚)調停申立事件について家事調停を申し立てました。
11月5日 名古屋家庭裁判所にて、夫婦関係調整(離婚)調停申立事件について家事調停を申立てました。
11月5日 名古屋家庭裁判所にて、夫婦関係調整(離婚)調停申立事件について家事調停を申立てました。
11月5日 千葉家庭裁判所松戸支部にて、離婚等請求事件について判決が出ました。
11月7日 名古屋家庭裁判所にて、離婚請求事件について人事訴訟を提起しました。
11月7日 名古屋高等裁判所にて、即時抗告申立事件について即時抗告を申立てました。
11月14日 名古屋家庭裁判所にて、請求すべき按分割合に関する処分審判申立事件について審判が出ました。
11月21日 名古屋家庭裁判所にて、夫婦関係調整(離婚)調停申立事件について家事調停を申立てました。
11月29日 京都家庭裁判所にて、離婚請求事件について裁判上の和解が成立しました。
10月1日 名古屋家庭裁判所岡崎支部にて、夫婦関係調整(離婚)調停申立事件について家事調停を申立てました。
10月1日 名古屋家庭裁判所岡崎支部にて、婚姻費用分担調停申立事件について家事調停を申立てました。
10月1日 名古屋家庭裁判所岡崎支部にて、夫婦関係調整(離婚)調停申立事件について家事調停を申立てました。
10月2日 名古屋家庭裁判所にて、子の監護者指定調停申立事件について調停が成立しました。
10月2日 名古屋家庭裁判所にて、夫婦関係調整(離婚)調停申立事件について調停が成立しました。
10月3日 名古屋家庭裁判所岡崎支部にて、夫婦関係調整(離婚)調停申立事件について家事調停を申立てました。
10月3日 名古屋家庭裁判所にて、離婚請求事件について人事訴訟を提起しました。
10月3日 名古屋高等裁判所にて、即時抗告申立事件について特別抗告を申立てました。
10月7日 名古屋家庭裁判所にて、請求すべき按分割合に関する処分審判申立事件について家事審判を申立てました。
10月8日 名古屋家庭裁判所半田支部にて、財産分与審判申立事件について家事審判を申立てました。
10月11日 名古屋家庭裁判所にて、請求すべき按分割合に関する処分申立事件について審判が出ました。
10月15日 名古屋家庭裁判所にて、請求すべき按分割合に関する処分申立事件について審判が出ました。
10月24日 岐阜家庭裁判所にて、夫婦関係調整(離婚)調停申立事件について調停が成立しました。
10月25日 名古屋家庭裁判所にて、婚姻費用分担審判申立事件について審判が出ました。
10月31日 名古屋家庭裁判所にて、婚姻費用分担申立事件について審判が出ました。
9月5日 名古屋家庭裁判所半田支部にて、婚姻費用分担調停費用について審判が出ました。
9月5日 名古屋家庭裁判所半田支部にて、婚姻費用分担調停費用について審判が出ました。
9月19日 名古屋家庭裁判所にて、婚姻費用分担調停事件について調停が成立しました。
9月19日 名古屋地方裁判所岡崎にて、慰謝料請求事件について民事訴訟を提起しました。
9月20日 名古屋家庭裁判所にて、夫婦関係調整(離婚)調停申立事件について調停が成立しました。
9月24日 名古屋家庭裁判所にて、夫婦関係調整(離婚)調停申立事件について家事調停を申立てました。
9月24日 名古屋家庭裁判所にて、子の監護者指定審判申立事件について家事審判を申立てました。
9月24日 名古屋家庭裁判所にて、審判前の保全処分申立事件について保全処分を申立てました。
9月30日 名古屋家庭裁判所にて、夫婦関係調整(離婚)調停申立事件について家事調停を申立てました。
9月30日 名古屋家庭裁判所にて、婚姻費用分担調停申立事件について家事調停を申立てました。
8月7日 名古屋家庭裁判所にて、離婚等請求事件について裁判上の和解が成立しました。
8月7日 名古屋家庭裁判所にて、損害賠償等請求事件について裁判上の和解が成立しました。
8月8日 岐阜家庭裁判所にて、婚姻費用分担調停申立事件について調停が成立しました。
8月9日 名古屋地方裁判所にて、慰謝料等請求事件について決定が出ました。
8月19日 福岡家庭裁判所にて、面会交流審判に対する抗告事件について決定が出ました。
8月28日 名古屋家庭裁判所にて、間接強制申立事件について申立てました。
7月10日に名古屋家庭裁判所岡崎支部にて、婚姻費用分担調停申立事件にかかる調停が成立しました。
7月11日に名古屋高等裁判所にて、財産分与審判に対する即時抗告事件について即時抗告の棄却についての決定が出ました。
7月11日に名古屋家庭裁判所岡崎支部にて、離婚請求事件にかかる裁判上の和解が成立しました。
7月12日に名古屋家庭裁判所にて、夫婦関係調整(離婚)調停申立事件について家事調停を申立てました。
7月12日に名古屋家庭裁判所にて、婚姻費用分担調停申立事件について家事調停を申立てました。
7月12日に名古屋家庭裁判所にて、年金分割にかかる処分申立事件について審判が出ました。
7月19日に名古屋家庭裁判所岡崎支部にて、夫婦関係調整(離婚)調停申立事件について家事調停を申立てました。
7月25日に名古屋家庭裁判所にて、夫婦関係調整(離婚)調停申立事件にかかる調停が成立しました。
7月30日に名古屋地方裁判所にて、和解金請求事件にかかる和解が成立しました。
7月31日に名古屋地方裁判所にて、損害賠償等請求事件について民事訴訟を提起しました。
6月4日に名古屋家庭裁判所に夫婦関係調整(離婚)調停申立事件について家事調停を申立てました。
6月7日に名古屋家庭裁判所半田市部にて、夫婦関係調整(離婚)調停申立事件について調停が成立しました。
6月10日に名古屋家庭裁判所半田支部にて、夫婦関係調整(離婚)調停申立事件について調停が成立しました。
6月11日に名古屋家庭裁判所半田支部にて、夫婦関係調整(離婚)調停申立事件 について調停が成立しました。
6月14日に名古屋高等裁判所にて、養育費(増額)審判、同申立て却下審判に対する即時抗告事件について決定が出ました。
6月18日に名古屋家庭裁判所に面会交流調停申立事件について家事調停を申立てました。
6月21日に名古屋家庭裁判所にて、夫婦関係調整(離婚)調停申立事件について調停が成立しました。
6月21日に名古屋家庭裁判所にて、婚姻費用分担調停申立事件について調停が成立しました。
6月24日に横浜家庭裁判所に養育費減額請求調停申立事件について家事調停を申立てました。
6月28日に名古屋家庭裁判所に離婚等請求事件について人事訴訟を提起しました。
5月10日に名古屋家庭裁判所にて、離婚請求事件について裁判上の和解が成立しました。
5月21日に名古屋家庭裁判所に離婚等請求事件について人事訴訟を提起しました。
5月22日に名古屋家庭裁判所にて、婚姻費用分担調停申立事件について調停が成立しました。
5月24日に名古屋家庭裁判所にて、婚姻費用分担調停申立事件について調停が成立しました。
5月28日に名古屋家庭裁判所に婚姻費用分担調停申立事件について家事調停を申立てました。
5月31日に名古屋家庭裁判所にて、婚姻費用分担審判申立事件について審判が出ました。
4月25日に名古屋家庭裁判所に離婚等請求事件について人事訴訟を提起しました。
4月26日に名古屋家庭裁判所にて、面会交流審判事件について審判が出ました。
3月7日に名古屋家庭裁判所にて、婚姻費用分担申立事件について審判が出ました。
3月12日に名古屋家庭裁判所半田支部にて、夫婦関係調整(離婚)調停申立事件について調停が成立しました。
3月12日に名古屋家庭裁判所半田支部にて、面会交流調停申立事件について調停が成立しました。
3月18日に名古屋地方裁判所にて、慰謝料等請求事件について裁判上の和解が成立しました。
3月25日に名古屋家庭裁判所に離婚請求事件について人事訴訟を提起しました。
3月25日に名古屋地方裁判所に慰謝料等請求事件について民事訴訟を提起しました。
2月6日 名古屋家庭裁判所半田支部に面会交流調停申立事件について家事調停を申立てました。
2月13日 名古屋家庭裁判所にて、夫婦関係調整調停事件について調停が成立しました。
2月14日 名古屋家庭裁判所に夫婦関係調整(離婚)調停申立事件について家事調停を申立てました。
2月14日 名古屋家庭裁判所に婚姻費用分担調停申立事件について家事調停を申立てました。
2月15日 名古屋地方裁判所に慰謝料等請求事件について民事訴訟を提起しました。
2月22日 名古屋家庭裁判所に離婚請求事件について人事訴訟を提起しました。
2月26日 名古屋家庭裁判所に婚姻費用分担調停申立事件について家事調停を申立てました。
2月26日 名古屋家庭裁判所に婚姻費用分担調停申立事件について家事調停を申立てました。
2月26日 名古屋家庭裁判所に夫婦関係調整(離婚)調停申立事件について家事調停を申立てました。
2月26日 名古屋家庭裁判所に婚姻費用分担調停申立事件について家事調停を申立てました。
2月26日 名古屋高等裁判所にて、損害賠償請求上告受理申立事件について決定が出ました。
2月28日 名古屋家庭裁判所に夫婦関係調整(離婚)調停申立事件について家事調停を申立てました。
2月28日 名古屋家庭裁判所に婚姻費用分担調停申立事件について家事調停を申立てました。
2月28日 名古屋家庭裁判所にて、財産分与申立事件について審判が出ました。
1月15日 名古屋地方裁判所にて、慰謝料等請求事件について調停が成立しました。
1月18日 名古屋家庭裁判所にて、子の監護者の指定申立事件について調停が成立しました。
1月18日 名古屋家庭裁判所にて、子の引き渡し申立事件について調停が成立しました。
1月23日 名古屋家庭裁判所にて、面会交流調停申立事件について家事調停を申立てました。
1月24日 名古屋家庭裁判所一宮支部にて、夫婦関係調整調停事件について調停が成立しました。
1月24日 名古屋家庭裁判所一宮支部にて、婚姻費用分担調停事件について調停が成立しました。
1月25日 離婚協議について裁判外の和解が成立しました。
1月25日 名古屋家庭裁判所にて、養育費増額申立事件について調停が成立しました。
開業医の離婚においては、医療法人の出資持分返還請求の問題が生じる可能性があります。具体的には、平成19年3月31日以前は出資持分のある社員の存在する医療法人の設立が認められており、そのような医療法人の定款には、「退社した社員は、その出資額に応じて、返還を請求することができる」との条項を置いていることが多く、離婚の際、妻又は夫が医療法人を退社することになり、それに伴い上記の定款の条項に基づき出資額の返還を請求することになるのです。
このような出資持分の返還請求に関して問題となるのは、その返還すべき金銭の額です。今回は、この開業医の離婚に特有の医療法人の出資持分返還請求について説明したいと思います。
たとえば、開業医の夫が総出資額3000万円のうち2000万円、その妻が1000万円を出資して医療法人を設立した後、離婚時の当該医療法人の保有する財産の総額は6億円である場合、離婚に伴い退社する妻に対して、いくらの出資持分を返還しなければならいのでしょう。
仮に、定款に「退社した社員は、出資額を限度に返還請求できる」と記載してあれば、設立の際に妻が出資した1000万円を返還すれば足りるでしょう。しかし、実際の定款には「出資額に応じて」と記載されています。
この点につき、実務では、原則として、このような定款の記載は、退社時の医療法人の財産の評価額に、同時点における総出資額中の退社する社員の出資額の占める割合を乗じた額を返還することを規定したものであると理解されます(最高裁平成22年4月8日判決参照)。
したがって、先ほどの例では、医療法人は、妻に対して、6億円×(1000万円÷3000万円)=2億円を返還しなければなりません。しかしながら、医療法人は財産の全てを現金あるいは預金として保有しているわけではなく、その一部は不動産や未回収の医療報酬債権などの形で保有しているため、通常、妻からの2億円の返還請求に応じることは困難であり、また、仮に応じるとすれば病院の経営に大きな悪影響を与えるおそれもあります。そのため、離婚に際して、この出資持分返還請求の問題を解決することができないため離婚問題が長期化してしまうおそれがあるのです。
当然のことながら出資持分のない医療法人においては出資持分返還請求の問題は生じません。そこで、出資持分のない医療法人に移行することは出資持分返還請求の問題を解決する策の1つとなります。
移行するためには、定款を変更する社員総会決議、所管税務署に対する届出等の手続きをとる必要があります。ちなみに、平成19年4月1日以降に設立された医療法人においては、そもそも出資持分のある医療法人の設立は認められていません。
出資持分返還請求の問題の具体的解決策の1つは、事前に定款を変更して社員の退社の際の出資持分の返還は出資額を限度とする旨の条項にすることです(このような医療法人は出資額限度法人といいます。)。
このような定款の変更により、出資持分の返還は、退社する社員の出資額を限度とすることになるので高額な返還を請求されることを回避することができます。但し、離婚の問題の発生した後、退社の見込まれる配偶者からの高額の出資持分返還請求を回避することだけを目的とした定款変更は、場合によっては、公序良俗違反等の理由から無効とされる可能性があるため注意しましょう。
出資持分のある医療法人のままの場合には、先に説明した出資額返還請求の問題は不可避となります。そのため、この問題を解決するには、当事者間の協議あるいは訴訟手続により、その返還額を決定するほかありません。
なお、上記の最高裁の判例では、原則として、返還額は出資割合に応じた額であるとしながら、具体的返還額については、当該医療法人の公益性を適切に評価し、出資者が受ける利益と当該医療法人及び地域社会が受ける損害を客観的に比較衡量、医療法人の資産形成の具体的経緯の諸事情を考慮して、出資割合に応じた全額の返還の請求を認めることが不当である場合には、権利の濫用等を理由として、その金額を制限する余地を認めています。
医師の離婚における財産分与においては、特に以下の点が問題となり得ます。
医師は高収入のため、その保有する財産は多種となり、その金額自体高額となる傾向にあります。
そのため、医師との離婚における財産分与では、何より、財産分与の対象となる財産を調査することから始まります。
特に離婚の危機の迫った時期以降は、離婚に伴う財産分与を意識して、保有財産を意図的に隠匿するおそれがあることから、同居している段階において、医師である配偶者の保有財産について意識してチェックしておきましょう。
また、財産といえば、通常、預金、不動産、自動車などの実用品であり価値の高い物を思い浮かべると思いますが、医師のような高所得者の場合には、実用品ではない骨董品、絵画等を所持しているような場合があり、そうした物は自動車や不動産等に匹敵するような極めて高額の価値を有していることもありますから注意しましょう。
開業医の場合には、病院・医療法人と医師個人の財産との混在により、財産分与対象財産であるかについて、明確に判断できないような場合があります。
たとえば、医師である配偶者が個人の財産を特定の時期から特に理由なく病院・医療法人名義の財産としているような場合には、このような財産は医師個人の財産とみなして、財産分与の対象とされることもあるでしょう。
開業医の夫と離婚する場合には、医療法人の出資分の払戻しの問題に注意が必要ですが、そもそも、医療法人の出資分の払戻しとは何でしょうか。
平成19年の医療法改正前は、出資持分のある社団医療法人の存在が認められていました。
要するに病院に出資することができました。
そして、このような出資持分のある医療法人の定款には、通常、社員資格の喪失時に出資者に対する出資額に応じた払戻しを認める記載がありました。
そのため、医師の夫と離婚して、出資持分のある医療法人の社員から退く妻であれば、出資分の払戻しを請求することができるのです。
問題は、払戻しの金額です。
定款には、「出資額の限度」ではなく、「出資額に応じて」と記載していますから、単純に1000万円出資した場合に1000万円を返還することでは足りません。
この払戻しの金額は、医療法人の資産総額×(払戻請求者の出資額÷全体の出資額)により算定されます。
たとえば、医療法人設立時、夫3000万円、妻1000万円の出資をしていた場合、離婚時の病院の資産総額が1億円の場合、払戻額は1億円×(1000万円÷4000万円)=2500万円になります。
どうして、このことが問題になるかといえば、病院の資産は現預金に限られないため、そもそも払戻額を準備できないこともありますし、計算通りの払戻しを行うと病院の経営が成り立たなくなる危険が生じうるためです。
そのため、開業医の夫と離婚する場合には、この医療法人の出資分の払戻しについて揉めるため、離婚問題は長期化することがあります。
実務では、財産分与における寄与割合は、個人の尊厳及び両性の本質的平等の観点から、原則として、2分の1として、特段の事情のある場合に限り、例外的に2分の1とは異なる割合での分与を認める傾向にあり、これは「2分の1ルール」と呼ばれています。
そして、実際のところ、財産分与において、2分の1ルールの修正を認めるケースは稀であり、ほとんどのケースでは2分の1の寄与割合により財産分与は行われています。
しかし、医師の離婚の場合には、この2分の1ルールの修正が認められるケースがあります。
これは、医師という職業が個人の努力や才能により獲得した資格による高度の専門的知識・技能を基礎とした職種であり、かつ、それゆえに多額の収入を得ているため、夫婦共同財産に対する寄与割合について、医師である配偶者の割合が他方の配偶者より大きいものと考えられる場合があるからです。
裁判例では、財産分与の寄与割合について、同様の趣旨から、医師である夫の寄与割合を6割、妻の寄与割合を4割として2分の1ルールを修正する判断を示しました。
もっとも、裁判所は、他方、妻が家事や育児だけでなく病院の経理を一部担当していた事情を考慮すれば、妻の寄与割合を4割より小さいものとすることは許容できないとの判断を示しています(大阪高等裁判所平成26年3月13日判決参照)。
このように、2分の1ルールの修正の可否及び修正の程度については、個別の事案における具体的事情を考慮して判断されるため、当事者としては自分にとって有利となる具体的事情を主張できようにしておきましょう。
開業医である配偶者は、自身の経営する病院において、他方配偶者を雇用していることがあります。この場合において、離婚を理由として他方配偶者を解雇することはできるでしょうか。
夫婦の問題と雇用の問題は別問題ですから、基本的には、離婚を理由として配偶者を解雇することはできません。
我が国において、使用者の解雇権は、いわゆる解雇権濫用法理に従い、その有効性は厳格に判断されるため、離婚という私的領域における事情を理由として、解雇を正当化することは困難です。
それでは、離婚の理由が他方配偶者の病院内での不倫の場合でも、これを理由とした解雇はできないのでしょうか。
職場内の不倫を理由とした解雇については、これを有効とした裁判例(長野地方裁判所昭和45年3月24日判決)と否定した裁判例(旭川地方裁判所平成元年12月27日判決)の双方が存在しています。
いずれの場合でも共通していることは、単なる不倫の事実だけでは解雇はできないということです。
観光バス会社の妻子ある運転手が、未成年の女性バスガイドと肉体関係を持ち、妊娠をさせたことが、勤務途中での同宿等の職場環境の特殊性から観光バス会社の社会的地位、名誉、信用を傷つけ、その業務の正常な運営を阻害した
ということを理由として、解雇を有効としたものがあります。
不倫により社内の風紀・秩序を乱した具体的事実についての証明がない
ということを理由として解雇を無効としたものがあります
このように、職場における不倫関係は、私生活上の行為であるため、原則として懲戒解雇の対象となりませんが、「会社の社会的評価に重大な悪影響与える」ような場合に限り、有効とされます。 そうすると、病院内での不倫を理由とした解雇の認められるのは、たとえば、看護師等の配偶者が病院内において複数の患者と不倫の関係を結び、これにより病院の評判を著しく毀損して患者数を激減させたなど極端な場合に限られるでしょう。
以上のとおり、開業医の経営する病院において配偶者が働いていた場合、離婚を理由として当該配偶者を解雇することは、かなり難しいという結論になります。そこで、解雇できない場合の対応について考えてみましょう。
一般の会社と同様、労働者を有効に解雇できないものの、その労働者には会社から離れて欲しいと考える場合の対応として考えられるのは、退職勧奨です。退職勧奨とは、要するに、使用者である開業医は一方的に労働者である配偶者を解雇することはできないので、当該配偶者の自発的意思に基づく退職を促すのです。
このとき、離婚の原因について明らかに配偶者の責任であるようなケースでは解雇はできないとしてもその責任を取るという意味での退職を促すことは、それほど難しくはないでしょう。
離婚に至った原因について、双方に責任のあるようなケースや明らかに開業医に責任のあるようなケースでは、無条件に退職してもらうよう促すことは難しく、たとえば、次の就職先を見つけたり、あるいは、次の就職先の見つかるまでの生活費用として、ある程度の金銭的給付を行ったりするなどの対応を必要とするでしょう。
なお、退職勧奨は、あくまでも退職という労働者の自発的意思を促す行為であるため、高圧的な態度や誹謗中傷に当たる言動や本人が拒否しているのに執拗に退職を迫るなどの行為は、不法行為と評価されることもあるので注意しましょう。
このような退職勧奨を行っても配偶者が退職に応じなければ、離婚後も従前どおり同じ職場において働かざるを得ないでしょう。
財産分与の対象になる財産とは?
財産分与の対象となる財産は、預貯金、給与、有価証券、不動産などです。
そして、その名義は共有でなくどちらか一方となっていても構いません。
実質的に夫婦が共同で築いた財産であれば名義のいかんに関わらず財産分与の対象となります。
退職金には、給与の後払い的な性質があると考えられています。
そのため、退職金も給与と同様に財産分与の対象になりえます。
夫の給料から日々の生活に使用された後に残っていたものを預貯金すれば、それが財産分与の対象となるのと同様に、退職金も婚姻中に夫婦が協力し、二人の結婚生活において作り上げられた財産といえるからです。
退職金といえば、夫が汗水流し働いた結果の報いであるような印象も受けます。
しかし、夫が外で仕事に専念できたのは、妻のサポートがあってこそ、という考えがあるのです。
そもそも退職金とは、長年仕事に従事してきた人の労働の結果、支払われるものです。
つまり夫が長年仕事を頑張ってこれたのは、夫婦の協力があってこそ、妻が夫の身の回りの世話をし、育児を含む家事をこなし、仕事に支障を与えないような環境を整えていたと考えるのが妥当なのです。
その考えのもとでは、退職金も財産分与の対象となります。
離婚時、すでに支給されていた退職金は、財産分与の対象となり、退職金全額のうち、基本的に婚姻期間に応じた割合が対象となります。
例えば、勤務期間が20年間でそのうち婚姻期間が10年間という場合、退職金のうち半分が財産分与の対象となります。
ただ、気をつけなければならないのは、退職金相当額が残っているか否かという点です。退職金を受領したのがだいぶ前のことであって、離婚時においてすでに退職金がなくなってしまっているような場合には、財産分与の対象となる財産がすでに存在しないので、財産分与の対象にならないとされてしまう可能性が高いです。
まだ退職金が支払われていない場合、退職金が確実に支払われるかどうかは分かりません。
そこで、退職金が財産分与の対象とされるかは、退職金が支払われる可能性の有無で判断されます。
以下、いくつかポイントをあげてみます。
将来支給される退職金のうち、婚姻前の夫の労働により得られた部分は、財産分与の対象になりません。
具体的に財産分与の対象とされるのは、婚姻期間に応じた割合となります。
つまり、勤務期間が20歳から60歳までの40年間で退職金が2000万円の場合、婚姻期間が30歳か40歳までの10年間であれば、財産分与の対象となるのは一般的に2000万円全額ではなく、
2000万円×10年/40年=500万円と、計算されることが多いです。
もちろん、単純に1年の勤務に比例して退職金は増額するとは限らないため、実際には、退職金規程等を参照して、退職金の算定式を考慮し、財産分与の対象になる退職金の額を決めることもあります。
退職金は、前述のとおり財産分与の対象になります。
退職金が、給料・賃金の後払い的性格を有し、退職金も二人の結婚生活において作り上げられた財産といえるからです。
但し、財産分与とは、結婚生活の中で形成された財産が対象になるということで、裁判所では、妻の寄与(貢献)は同居期間しか認められないとの考えが一般的であるため、別居時の時点で計算するのが原則です。そして、そのような期間に形成された財産について、妻は原則2分の1(0.5)の寄与があると推定されるのが一般的な裁判の考え方ですので、退職金について財産分与請求する場合は、おおよそ以下のような計算式となります。
<退職金財産分与の一般的な計算式>
( | 妻が夫の退職金について 請求する額 |
) | = | ( | 退職金支給額のうち 別居までの婚姻期間に対応する額 |
) | × | 0.5 |
ただし、これはあくまで一般的な計算方法ですので、妻の2分の1(0.5)の寄与については、事案によっては4割の寄与しかないと判断された事例もあります。
また、その支払い時期については、判例上いくつか考え方が示されており、支払い時期により退職金支給額の計算方法が異なります。
1.別居時に自己都合退職したと仮定した場合に受給できる額を基礎にする
簡単に言いますと、「今退職したら退職金はいくらになるか」を計算の基礎にする考え方です。
将来の退職金を受給できるかどうか不確実という考えにも対応できます。
2.将来受給する退職時見込額を中間利息を複利計算で控除して引き直した現在の価額を基礎にする
とても難しい表現ですが、簡単に言いますと、『将来受給する退職時見込額を基礎にはするが、「将来受け取るもの」を今受け取ることによる利息分を差し引く』ということです。
これら離婚時分与説には、まだ支給されていない分与金支払のための資金調達を強いることになるとともに、退職金が勤務先の倒産等により支払われなかった場合の問題を指摘する意見もみられます。
上記問題が生じないのは、次の考え方です。
1.将来の退職時に受給する見込額を基礎にする
2.離婚時に自己都合退職したと仮定した場合に受給できる退職金を基礎にしながら、将来の退職時の受給見込額が多くなることを考慮して、分与額の増額要素とする
離婚時に自己都合退職したと仮定した場合に受給できる退職金では少なくなるので、分与を受ける側の不利益を考慮した考え方です。
定年退職までの期間が短い場合には、将来の定年退職時に支給される退職金の額を基準とする場合が多く、定年退職までの期間が長い場合には、離婚時に自己都合退職した場合の退職金の額を基準にする場合が多いです。
もっとも、どちらの計算方法がとられるかについては、判断基準が明確にあるわけではなく、具体的事案に応じて判断されます。
このように、退職金を財産分与の対象にできるのか、また、その計算方法はどのようにすべきかといった問題は、専門的で複雑な判断となり事案によります。どのような主張・立証をして、どのような計算方法をとるべきかは、個別具体的なご事情によって異なりますので、弁護士に相談することをおすすめします。
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